イントロダクション
すべてをかけて守るべき者がいる。高杉良 渾身の傑作、完全映画化!
時代の流れを確かに見据える目と、その中を生き抜く人物像をダイナミックに描き出す筆致で、日本の小説界に経済エンターテインメントという新たなジャンルを確立した高杉良。「金融腐食列島」「呪縛」「再生」で、巨大銀行と日本の現在を描き、問題と同時にその再生の道までも示した高杉が、日本の税制を背景に、敢然と国家に立ち向かう一人の男の姿を描きだした作品、それが「不撓不屈」だ。
我が国の未来のため、愛する者たちのため、信念を胸に闘い始めた男。彼はその前に立ちはだかる者がどのような権力を振りかざそうと、決して己の信念を曲げることはなかった・・・。男の支えとなっていたのは強い絆で結ばれた家族と多くの理解者たち。興奮と感動、そして本来あるべき社会と人間の姿を描く高杉良の渾身の傑作「不撓不屈」が、今、完璧な映画となってスクリーンに登場する!
「つかみとる未来は自身のためだけのものではない」
男はそれでも闘い続けた。
円滑な経営を助けるため、一人の税理士が中小企業に勧めた税務手法。国税局はそれを認めようとはせず、あらゆる手段を駆使して彼への圧力をかけ始める。だが彼は決してひるむことはない。税法とは国家のためのものなのか、それとも国民のためのものなのか。男の胸の中に掲げられた理想。彼だけが、未来を見据え、進むべき方向に確信を持っていた。
迷うことは何もない・・・あらゆる政治的な取引を拒絶し、ひたすら自身の信じた道を行く、男の誇り高き姿。その確たる生き方が次第に権力の包囲をつき崩してゆく。すべての志ある者が夢見ながらも、なかなか貫くことのできない壮絶な生き様がここにはある!
家族を守るために男は熱い闘いを開始した!
男の闘いを支えたもの、それは守るべき家族への、そして家族からの愛だった。社会的に孤立することを余儀なくされても、男の魂は孤独ではなかった。信じてくれる者たち、ともに生きる家族たちの無償の愛が男を支えた。ときにあたたかく声をかけ、ときにはあえて遠くから見守る妻、息子、娘。強い信念を持って闘う彼の姿に打たれ次第に多くの理解者が現れ始める。
「不撓不屈」は男の闘いとその男の生き様を支えた家族の愛を克明に描き出して行く。「つかみとる未来は自身のためだけのものではない」「確固たる信念を持って闘うとき理解者は必ずいる。決して孤独ではないのだ」この作品にはそんな熱いメッセージがこめられている。
衝撃の実話。驚愕の“飯塚事件”を完璧に再現!
この物語は実話に基づいている。たった一人、国家に立ち向かい、7年間に渡る闘いの果てに完全勝利を収めた人物は実在したのだ。 飯塚毅――昭和38年、飯塚会計事務所は大企業に比べて脆弱な経営基盤しか持たない中小企業のために、「別段賞与」という制度を勧めた。飯塚が法人税基本通達二六五(当時)を根拠として指導した節税対策だったが、これに対して国税局は脱税指導の嫌疑をかけてきたのだ。飯塚会計事務所と関与先数十社に対し一斉に税務調査が始まった・・・。飯塚に迷いはなかった。飯塚はまさに不撓不屈の精神で、国家に戦いを挑んだのだ。
しかし、飯塚が本当に闘った相手は国家権力ではなかった。それは誰しもが心の中に持つ倫理観を守り抜くこと。飯塚が貫きたかったものはそれだった。いかに優れた理念、法律であろうとそれを運用するのは人間次第。人間が成熟しなければ税務の成熟も、国家の成熟もありえない。飯塚は長い闘いの果てにそれを訴える・・・その真実が、飯塚事件を映画化したこの物語の中で、見るものすべての心をうち、胸を激しく揺さぶるのだ。
日本映画界の実力派たちがここに結集!
「不撓不屈」には、日本映画界を代表する実力派が結集した。飯塚毅に扮するのは、NHK大河ドラマ「徳川家康」で家康を演じて人気を不動のものとし、以後、重厚な演技派として幾多の映画、ドラマを支えてきた滝田栄。
飯塚の闘いを見守り、さまざまな面から支え続ける妻るな子には、2006年公開 「るにん」での熱演の印象もさめやらない松坂慶子。今回は、母としての強さを静かな演技の中にしっかりと刻み込む。
飯塚と真っ向から対立する国税局の役人を三田村邦彦、飯塚の恩師に夏八木勲、飯塚の心の師である雲厳寺の老師に北村和夫が扮するほか、田村涼成、中村梅雀らもそれぞれ印象的な役柄で顔を見せる。
高杉良の重厚かつ緊迫感溢れる原作を見事にスクリーンに移し変えた脚色は、NHK大河ドラマ「利家とまつ」、NHK連続テレビ小説「天花」などの竹山洋。撮影は「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」など山田洋次作品に欠かせない長沼六男。監督は「若者たち」「次郎物語」などの森川時久が手がけている。日本映画を代表するキャストとスタッフが、今の日本に本当に必要なものは何かを問いかける骨太なエンターテインメントの傑作が誕生した。
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